2016年はDavid BowieとLeonard Cohen、ロック史に残る偉大な2人のミュージシャンを失った年であった。ミュージシャンの訃報は毎年避けられないことではあるけれど、今年の何が特別だったかって、それは何と言ってもこの2人のミュージシャンが2016年、共にアルバムを世に送り出していたということである。そして、その2枚のアルバムが死というフィルターに関わらず(アーティストの死はしばしば美化される風潮があるけれど)、自分にとっての愛聴盤となっていたことである。それゆえに、この2つの訃報は、自分の心によりダイレクトに、より強く響いたイメージが強い。リアルタイムで作品を聴いていると、あたかも彼らが近くにいるような気がして、まるで身内が亡くなったかのような悲しい気持ちなったことを覚えている。

個人的にも濃い印象を受けた2016年、Dead Funnyもベスト・アルバム・リストたるものを公開しようと思っている。インディー・ミュージックをメインに今年もたくさんの良作がリリースされた。先述のDavid Bowie『★』、Leonard Cohen『You Want It Darker』も、もちろんそれに当てはまるが、今回はリスペクトも込めて、そして、このDead Funnyという色も重視して、あえてリストからは外させてもらった。他のメディアのリストとは違い、よりインディー・ミュージックにフォーカスした50枚を選んでいる。見ていただいた方々の中で、1人でも多く、新しいアルバムとの出会いを見つけていただければ幸いだ。

The Albums Of 2016 [50-41]

50. Liss - First

デンマーク出身の若き4人組Lissの4曲入りEP。デビュー作はまだリリースされていないが、この若き4人はデンマークというブランドの中でも一つ才能が抜きん出ている。Iceage周辺のサウンドが目立つ中、R&Bを基調としており、名門XLとサインを交わしたことからも、このバンドが今後大きな存在となっていくことは明らかだ。

49. William Tyler - Modern Country

ナッシュビルのギタリストWilliam TylerはLambchopのギターを務める傍、コンスタントにソロ・アルバムをリリースしてきている。どれも良作といえる中で、この最新作もまた、彼の美しいフィンガー・ピッキングの際立つ名作に仕上がった。インストゥルメンタルでドラマティックに魅了する表現力は脱帽。これからもずっとこういった作品を作り続けてほしいものだ。

48. Sean Nicholas Savage - Magnificent Fist

知る人ぞ知るモントリオールのカルト・スターでMac DeMarcoやTOPSといったアーティスト達からも敬愛される30歳。名門Arbutusからコンスタントに作品をリリースし続ける中、今年は昨年の傑作『Other Death』に続く作品を世に送り出した。8曲入りでカセット・テープとデジタルでのリリースと規模は小さいものの、個人的には昨年のアルバムにも劣らぬ内容であると思う。彼の独特なボーカルと、70年代ソフィスティ・ポップから影響を受けたローファイ・サウンドは唯一無二である。

47. Florist - The Birds Outside Sang

ニューヨークのレーベルDouble Double Whammyは今年もブレずに良作をリリースし続けてきた。その一つがこのFloristのアルバムだ。女性シンガー・ソングライターEmily Spragueを中心としたプロジェクトで、いわゆるDDWらしいローファイ・インディー・ポップ・サウンドである。メンバーの横のつながりが深いのもこのレーベルの特徴で、メンバーであるFelix WalworthのプロジェクトTold Slantの新作も素晴らしいものであった。

46. Islands - Taste / Should I Remain Here At Sea?

Nick Diamonds率いる、もはやベテランの域に達したインディー・ポップ・バンドIslandsが、歴史的名作1stアルバム『Return To The Sea』から10年、久しぶりに挑戦をしてきた。2枚のテイストの違ったアルバムを同時リリースしたのだ。思えばこれがキャリア6枚目と7枚目となる。ダンス・チューンが多めの『Taste』、バンド・サウンドな『Should I Remain Here At Sea?』、そのどちらもIslandsでありNick Diamondsの目指す音楽なのだ。

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45. Weyes Blood - Front Row Seat To Earth

Natalie Meringの新作、そして飛躍作。Pitchforkも認めた彼女の最新作は見事なまでに完成されたアルバムであった。Ariel PinkプロデュースのDrugdealerの新作に参加したり、ソロ作品以外でも露出の多かった今年の彼女であるが、その中でも最もプライオリティの高い自身Weyes Bloodとしての新作は自明であるが最も彼女としての素晴らしさが滲み出たものになっている。

44. Writer - Principle Web

ブルックリンのローファイ・インディー・バンドWriter。JamesとAndyのRalph兄弟を中心としたバンドで、90年代ローファイ好きにはたまらないノイズ・ポップ・サウンドをやっている。かなり知名度が低いのが謎なくらい曲が良くて、キャリアも割と長い。アルバム自体は4年ぶりで、その内容も素晴らしい。いろんなメディアを見渡しても全く話題になっていない気がするのだが、確実に聴く価値がある一枚だ。

43. Porches - Pool

PorchesがDominoに移籍するのはいい意味で衝撃的だった。ブルックリンのAaron Maineを中心としたローファイ・プロジェクトで、それこそガールフレンドでもあるFrankie Cosmos周辺のアーティスト達との交流が深かったり、割とアンダーグラウンドの方で活動しているイメージだ。昨年はAlex GがDominoからアルバム出すなど、そういった例も増えてきているし、今後はこの手のサウンドのブームが来るのかもしれない。音はもちろん良くて、緩いローファイ・シンセ・ポップ好きは確実にハマる作品である。

42. The Seams - Meet The Seams

60年代リバイバルなトロントのインディー・ポップ・バンドThe Seamsの新作。Fake Palms、Elsa、U.S. Girlsといったバンドのメンバーから構成されるスーパー・グループなのだが、個人的にはこれが一番好き。60年代のリバイバル感が強く、Real EstateやEZTVを思わせるサウンドで音はかなり荒いが、曲は全て名曲である。メンバーがこのバンドをメインで活動してくれることを願うばかりだ。

41. S U R V I V E - RR7349

Netflixで『Stranger Things』が大流行するまで、彼らの名前を自分が目にすることはなかっただろう。メンバーであるKyle DixonとMichael Steinは、その海外ドラマのサウンドトラックを手掛けたことでも知られているが、S U R V I V Eとしてリリースしたアルバムも素晴らしい。冒頭から鳴り響くこの独特の雰囲気は、ドラマ以上にバンドとしての個性を見いだすことができる。