The Best Albums Of 2016 [20-11]

20. David Vassalotti - Broken Rope

ドロドロしたサイケデリック・ミュージックの中に、光る名曲がある。アルバムってこう言った構成が実は聴きやすいし、リピートするのかもしれない。David Vassalottiの新作はそんな感じだった。彼はMerchandiseでも活動するアーティストで、むしろMerchandiseが有名すぎるだけに、そのファンにも聞いてもらいたいところではあるのだが、ちょっとソロでのサウンドが違いすぎるのでオススメは難しいかもしれない。ローファイ、フォーク、サイケ好きに薦めたい一枚である。アルバムのラストを飾るタイトル曲「Broken Rope」が名曲すぎて、そこに行きつきたいがためにアルバムを聴いていた。ドロドロとした中で最後に道が開けるような、そんな感情にしてくれるあのイントロは反則だ。

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19. Warehouse - Super Low

これまた独特な雰囲気を持つインディー・ロック・バンドが登場した。今作は2ndアルバムなのだが、自分が知ったのはこのアルバムが初めてなので実質デビュー作を聴いているような気持ちである。Captured Tracks周辺のクリーン・ギターを鳴らすバンド、Mac DeMarcoあたりのフォロワーに近いサウンドを鳴らしていながら、ボーカルのElaine EdenfieldはRoyal TruxのJennifer Herremaのようなハイトーン・ハスキー・ボイスで、そこが非常に特徴的だ。アルバムも全体的に曲は短くサラッと聴けてしまうので、この作品は何度もリピートした印象がある。特にギターフレーズはよく考えられていると思う。

18. Yumi Zouma - Yoncalla

Gorilla vs. Bearとか、そこらへんのセンス良い系(自分統計)メディアでは欠かせない存在なのが、このYumi Zoumaである。そんな彼女たちがついに1stアルバムをリリースするということだから、そりゃもう聴くしかない。拠点がニュージーランドというところも妙に孤高なイメージを与えていて、誰にも揉まれることなく洗練された音を貫いている。2枚のEPが完璧すぎて、そういった場合って大体1stアルバムでガッカリなパターンが多いのだけど、このアーティストにおいては、かなり満足度の高い作品を送り出してくれたと思っている。

17. Neighbors - Very Rare Expensive Jewelry

シアトルのオルタナティヴ・ローファイ・バンドNeighborsの最新作。あまりにもメディアに対する露出が少なすぎる。この手のバンドは90年代で終わってしまったのだろうか。個人的にはずっと応援しているバンドで、今作ももちろん最高で、何度もリピートした。Pavementフォロワーが次々と出ているが、どうも最近のバンドはファッショナブルで、当時のだらしないトレーナーを来たような、いかにもナードなバンドがドンドン減ってきている。Neighborsは決して派手ではないが、サウンドは間違いなく、曲の作りも音楽オタクでなければ書けないような、絶妙なこだわりを持っている。オルタナ好きはもちろん、最近のインディー・ファンも是非聴いてほしい作品だ。

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16. Fear Of Men - Fall Forever

ブライトンのトリオFear Of Menが、個人的には割とピンとこなかった印象の1stアルバム『Loom』の次に放った最新作。驚くほど素晴らしい作品だった。トリオ編成としての限界に挑戦したというアルバムで、よりゴージャスに、よりビター・スウィートに進化している。シンセ・サウンドが中心となり、ノスタルジーを排除したという本人たちの思惑通りの音に変化していると言えるだろう。明らかにキャリアハイとなった作品であると同時に、次作への伸び代をまだ残しているところが、さらに期待させてくれる。

15. Bellows - Fist & Palm

ローファイなスフィアン・スティーブンスという表現が一番稚拙だが分かりやすい。Oliver KalbによるプロジェクトがこのBellowsだ。前述の良レーベルDouble Double Whammyからリリースされた作品で、レーベル・メイトとの協力を経て作られた作品である。Told SlantのFelix Walworthがドラム、ExkimeauxのGabrielle Smithがコーラスやバイオリン。ここらあたりの名前は今後もよく耳にするだろう。エレクトロ・サウンド、フォーク・サウンド、幅広く取り入れ、それを全てベッドルームにて作り上げた。スフィアンも脱帽の傑作アルバムである。

14. Mitski - Puberty 2

2014年に自主でリリースした『Bury Me at Makeout Creek』がトントンと売れて、ついには名門Dead Oceansとサインを交わした日本生まれの女性シンガー・ソングライターMitski Miyawakiが、移籍後初の完全オリジナル・アルバム『Puberty 2』をリリースした。前作が素晴らしかったこともあり、今年のアルバムの中でも相当な期待値を求めていた作品であるが、それに応えてくれる内容だったと思う。プロダクションは、はるかにクオリティの高いものになっており、率直に売れたなと。前作のローファイ加減が個人的には好みではあるけど、やはりソングライティングのクオリティは天才級である。中でも各紙を賑わせた「Your Best American Girl」は、今年の中でもトップ5には確実に入ってくる名曲と言えるだろう。

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13. DIIV - Is The Is Are

DIIVはキラーフレーズを作るのが非常にうまい。単音フレーズを重ねてリフを作り、深いリバーブと絶妙なテンポ感で、疾走感というよりは、どちらかというと倦怠感を作り出す。これがもしも疾走感を出すような音作りであれば、絶妙にダサくなっているんだろうけど、そこをさせないのがCole Smithのセンスだ。アルバムは驚愕の17曲入りでインディー・ロック・アルバムとしては、ちょっと尺が長いところが個人的にはマイナス・ポイントだけれど、よくもネタ尽きずに曲を書いたなと、そこは流石である。

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12. Jerry Paper - Toon Time Raw!

Jerry Paperさんがバンド・サウンド?ということで聴くしかないじゃんなアルバムを作ってしまった。今作でバック・バンドに起用したのはEasy Feelings Unlimitedというジャズ・バンド。こちらは詳細は不明だ。Jerry Paper本来のヘンテコで愉快なポップ・サウンドは健在で、シンセ・サウンドが生音に、ドラムも軽快なジャズ・ビートを刻んでいる。今作はキャリア通算でいうと7作目にあたるのだけれど、毎回その才能には驚かされるばかりだ。今後とも目が離せない、インディー界の異端児として、活動が非常に楽しみなアーティストである。

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11. Kevin Morby - Singing Saw

WOODSのベーシストやThe Babiesのフロントマンとしても知られていたシンガー・ソングライターKevin Morbyは、今作のリリースにおいて、もはやその肩書きが必要なくなってしまった。WOODSが主催するWoodsistから2枚のアルバムをリリースしていたが(個人的には2作とも非常に好きな作品)、この度機会もあってDead Oceansに移籍。そこから初めてのアルバムとなるのがこの『Singing Saw』というわけだ。先行で公開された「Dorothy」の完成度の高さに、早くも年間ベストの声が轟く中、アルバムの内容自体も最高であった。元々のサイケデリックな雰囲気はそのままに、よりメジャーの方へも届くサウンドを展開。圧倒的に知名度を上げる飛躍作となった。

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